市川雷蔵ブーム@COOAS
特別寄稿 COOAS
前から映画を観るのは好きだったが,
今は批評家がほめた・けなしたという理由で観る事をすっかり放棄してるので,
かえって純粋な状態で楽しめていた.
そんな矢先,京都に行くようになってから再燃したレーベル単位の新選組への関心から
ふとDVDで観た『新選組始末記』が新しい!
・・・どう新しいかというと,市川雷蔵の有り具合だ.
写真:『浮かれ三度笠』大映1959年 監督/田中徳三 主演/市川雷蔵・中村玉緒
江戸式パーティションから現れる雷蔵.
映画ファンにとって大映最盛期を知らなければ市川雷蔵とは古いスター(美形好きの人が好む)みたいな,
作家主義はやたら持ち上げても雷蔵レトロスペクティヴなんてカンヌで絶対やりそうにない位置付け
だった事をよく憶えてるので,
「作家主義に影響受けてる人が世界の映画を変えるのよ〜」が映画史じゃなくて
当時現場で起こっている「歌舞伎出身の役者の即戦力」等を気付き理解する方がずっとほんとうの映画史だなーっと・・・
自分なりに観ていった方が早いと観方を変えさせた,日本人役者として貴重な存在なのだ.
あの細面撫で肩・胸板の薄さで剣を持つ姿は音無しの構えの如く一分の隙もないようにまるで本当に浮世絵の中の人のようだ.
外国人が思う屈強さが全て内に秘められてるごとく柔らかい.
思えばこういう「演技」とは日本古来のそれなんだよな.
で,次々に『炎上』も観たが,共演の中村玉緒(同じ歌舞伎出身)の天衣無縫(ファニー)な演技は当時たいへん評判になったそうだが,
『炎上』は1958年,何かこの演技を観たことがあるような。。。
似たよな役柄の6年後の『月曜日のユカ』(1964年)の加賀まりこだ!!
これもすごく話題になった演技の着想は,遡るところ中村玉緒の演技にあったんじゃないだろうか・・・??
(ヌーヴェルヴァーグ系のカリーナやバルドーよりも世界標準でポリゴン演技力のある中村玉緒だからこそ有効な指摘と思いたい)
批評家有りであっても無しであっても世界が変わらないなら,自分の目で見る他ないし,
蘇毛蘇毛(そもそも)批評家は自分の目で観ないでウケウリが多くて,アテにならない.
COOAS, 14 NOV 2022